「今日どうだった?」が続かない保護者へ。現役教師が教室でやっている、子どもの話の聞き方
こんにちは、先生でパパのクリスです。
「今日、学校どうだった?」「ふつう」。会話がそこで終わってしまう…。そんな経験はありませんか?
私は小学校の教員として16年、毎日たくさんの子どもたちの話を聞いてきました。そして家に帰れば、私も子どもの話を聞く親のひとりです。
この記事では、私が教室で実際にやっている「子どもの話の聞き方」を、家庭でも使える形でお伝えします。
聞き方は「場面」で変える
まず大切なのは、場面によって聞き方を変えることです。
教室では、大きく分けて2つの場面があります。ひとつは、休み時間などの何気ない会話。もうひとつは、けんかやトラブルなど何かあったときの聞き取りです。
この2つは、目的がまったくちがいます。何気ない会話は「安心して話してもらうこと」が目的。何かあったときは「事実を正しく知ること」が目的です。家庭でも、この2つを分けて考えるだけで、ぐっと聞きやすくなりますよ。
何気ない会話のときは「どんな子でも答えられる質問」にする
教室で何気ない会話をするとき、私が一番気をつけているのは、どんな環境の子でも答えられる質問にすることです。
たとえば、休み明けに「どこかに旅行に行った?」「何か買い物に行った?」と聞いたとします。楽しい思い出がある子は元気に答えてくれますが、家庭の事情で出かけられなかった子にとっては、つらい質問になってしまうことがあります。
だから私は、「休みは、どこか行ったり、何かしたりした?」と聞くようにしています。こう聞けば、「家でゲームしてた」も「公園で遊んだ」も、ぜんぶ立派な答えになるからです。
家庭では「楽しかった?」より「どんなことがあった?」
これは家庭でも同じです。「今日は楽しかった?」と聞くと、楽しくなかった日の子どもは答えにくくなってしまいます。
「今日はどんなことがあった?」「給食、何が出た?」のように、どんな一日でも答えられる質問にすると、子どもは安心して話しはじめてくれますよ。
何かあったときは「聞き取りの基本」に忠実に
一方で、けんかやトラブルなど何かあったときは、私は聞き取りの基本に忠実に話を聞きます。家庭だと、つい「なんでそんなことしたの!」から入ってしまいがちですが、まずは落ち着いて事実を集めることが大切です。
聞き取りのチェックリスト
- いつ:何日の、何時ごろ?
- どこで:教室?廊下?公園?
- だれと:だれがかかわった?そのとき、だれといた?
- なにを:何をした?(何をされた?)
- どんな言葉で:何て言われた?何て言った?
- どのくらい:どんな強さで?何回くらい?前にもあった?
- まわりの人:見ていた人、聞いていた人はいた?
メモを取りながらこの順番で聞いておくと、学校に相談するときも、そのまま担任の先生に伝えられます。
話したがらないときは「一緒に動く」「絵に描く」
うまく言葉にできない子や、話したがらない子もいます。そんなとき教室では、私と子どもで実際に動いて、その場面を再現してみることがあります。「ここに立ってたの?」「こうやって押されたの?」と体を動かしながらだと、子どもも説明しやすくなります。
ほかにも、絵に描いてもらうのもおすすめです。言葉にしなくても伝えられる方法を用意してあげると、子どもの気持ちがぐっと楽になります。
都合よく話していると感じたら「あなたは何をした?」
子どもは、自分に都合のいいように話してしまうことがあります。わざとではなく、怒られたくない気持ちからくることも多いです。
そんなときは、「〇〇くんが何をしたか」ではなく、「あなたは何をした?」だけを答えてもらうようにしています。相手のことではなく、自分の行動に目を向けてもらうためです。
学校とは早めにつながる
教室で何かあったとき、私たち教員はすぐに保護者の方と連絡を取り、話の内容に食い違いがないようにしています。
家庭で子どもから気になる話を聞いたときも、早めに担任の先生へ伝えてもらえると、本当に助かります。「こんなことで連絡していいのかな?」と迷わなくて大丈夫ですよ。
ついやってしまう「もったいない聞き方」
最後に、家庭でついやってしまいがちな「もったいない聞き方」を2つ紹介します。
① 答えを急いでしまう
「それって、こうだったんじゃないの?」と、親が先に答えを言ってしまうパターンです。子どもは「うん」と言うだけになり、本当は何があったのかが分からなくなってしまいます。少し時間がかかっても、子ども自身の言葉を待ってあげましょう。
② 子どもの話を100%だと思ってしまう
わが子の話を信じたい。親として当然の気持ちです。でも、同じ出来事でも、子どもによって見え方や覚え方はまったくちがいます。
大切なのは、疑うことではありません。「信じる気持ち」と「事実を確かめること」を分けて考えることです。気持ちはしっかり受け止めつつ、事実はチェックリストで落ち着いて確認していきましょう。
パパとして、わが家では
えらそうに書いてきましたが、実は私自身、わが子のことになると失敗しています。
以前、子どもが「習い事でいやなことをされた」と言ってきたことがありました。内容を確認し、「ほかにはない?」と何度も確かめたうえで、習い事の教室に電話をしました。ところが、相手の対応にやきもきしてしまい、おかしいと思ったことを、つい問い詰めてしまったんです。
結果はというと、実はわが子のほうがたくさんちょっかいを出していたり、ほかにもいらないことをたくさんしていたりしたことが分かりました。まさに赤っ恥です。
教室では「子どもの話を100%だと思わない」と分かっているのに、わが子のこととなると、つい信じ切ってしまう。先生である私でもそうなのですから、親として自然な気持ちなんだと思います。だからこそ、気持ちは受け止めつつ、事実は落ち着いて確かめる。それを、身をもって学びました。
まとめ
- 聞き方は「何気ない会話」と「何かあったとき」で変える
- 何気ない会話は、どんな子でも答えられる質問にする
- 何かあったときは、聞き取りのチェックリストで事実を集める
- 話したがらないときは、一緒に動く・絵に描く
- 都合よく話すときは「あなたは何をした?」
- 気になることは、早めに担任の先生へ
先生も親も、子どもの味方でいたい気持ちは同じです。「あのさ、ちょっと聞いてよ!」という相談があれば、お問い合わせからお気軽にどうぞ。